CFD取引の為替リスクについて。
たとえば米国株の現物株を買う場合、為替レートの影響があります。
同じようにドル建てのCFD取引でも為替レートの影響がありますが、現物株とは影響が異なります。
結論から言えば、CFD取引では現物株に比べて円安メリットを享受できず、現物株に比べて円高メリットを享受できます。
それは、CFD取引は「差額のみを決済する取引方法」であるからです。
CFD取引で為替レートが影響するのは「決済額(=損益額)に対してのみ」なので、こういう結果になるのです。
このページでは、CFD取引の為替影響(メリット、デメリット)を説明します。
現物取引とCFD取引の為替影響の比較
米国株を例に、現物取引とCFD取引の為替影響を比較します。
為替と株価の変動パターンは4つです。
為替 | 株価 |
---|---|
円高になる | 値上がりする |
値下がりする | |
円安になる | 値上がりする |
値下がりする |
100ドルの株を1株(1ポジション)だけ、買って売る場合を比較します。
買いと売り、それぞれのお金の流れを表にしました。
現物取引の()は損益です。
円高パターンでは、現物取引は株価が上がったにも関わらず、損失になっています。CFD取引はちゃんと利益が出ています。
また、株価が下がった場合でも、CFD取引の方が損失が小さいです。現物取引は株価の値下がり損と円高の為替損で、ダブルパンチとなっているためです。
円安パターンでは、円高パターンの逆です。現物取引は株価が下がっているにも関わらず、円安効果で利益が出ています。
このように、CFD取引と現物株を比べると、円高ではCFD取引、円安では現物取引に利があるように見えます。
ただ、ここでもう少し考えてみると、モノの見方がちょっと変わります。
現物取引は株という実物資産があるので、この実物資産そのものが為替レートの影響を受けます。
つまり、株価が下がっても、同時に円安になれば、含み損は低減されます。(例のように円換算でプラスにさえなる場合もある)。
CFD取引は実物資産がないので、円高だろうが円安だろうが、差額を決済するまでは為替レートの影響を受けません。
つまり、CFD取引では、円高になろうが円安になろうが決済するまで資産価値が変わらないのです。(だって、実物資産がないのだから)
そういうわけで、外貨建てだといって米国株をCFDで持っていても、それは円安対策にはなりません。円安対策として持つなら、現物株でないと意味がないのです。
もう少し、CFD取引と現物取引の考え方の違いを説明します。
買ったときと売ったときで「為替レートが同じ」「株価が同じ」と仮定して、4パターンがそれぞれどうなるかをみていきます。
為替 | 株価 |
---|---|
同じ | 値上がり |
値下がり | |
円高になる | 同じ |
円安になる |
100ドルの株を1株(1ポジション)だけ、同じ為替レートで買って売る場合を比較します。
為替レートが同じなら、株価の上下で現物取引とCFD取引で得られる損益に変わりはありません。
株価が同じなら、CFD取引の場合は利益も損失も出ません。CFD取引は差額のみを決済する取引だからです。
現物取引の考え方
現物取引では、現物資産そのものが為替の影響を受けます。
そのため、為替レートと株価の変動のどちらも影響を受けます。
CFD取引の考え方
CFD取引では、決済時の買値と売値の差額のみが為替レートの影響を受けます。
実物資産を持たないため、決済するまでは為替レートの影響を受けません。
CFDはこのように現物資産ではないため、為替ヘッジ(円安対策のドル建て資産)として保有することはできません。
2022年に入って急速に円安が進んでいますが、この場合は現物で持っていないと恩恵は受けられないのです。
事実として、2022年に入ってから米国の株式市場は暴落しました。しかし、同時に円も暴落し、円安ドル高が急激に進みました。
S&P500などの米国株価指数は、ドルベースだと大きくマイナスですが、円換算ベースだと少しだけマイナス、あるいはプラスということも起きています。
これは現物資産であればこそで、CFDの場合は単純に円安の分だけ損失が大きくなっていることになります。
現在のように中長期的に円安ドル高が見込まれる場合は、CFD取引は短期トレードに徹し、長期で持つことは避けたほうが無難といえると思います。
CFD投資におすすめの証券会社です。
① IG証券
IG証券はFX、バイナリオプション、CFDなどのリーディングカンパニーです。様々な金融商品を幅広く取り扱っており、持っておくと便利な口座です。
日本国内で開設できる証券会社の中ではCFDの種類と銘柄数が圧倒的に多いです。特に株式CFDの取り扱い銘柄数が多く、個別株でCFD投資するなら必須の口座です。日本株、米国株のどちらも取り扱いがあります。
IG証券の口座はFXや債券なども取引できるオールインワン口座です。ノックアウトオプションなどの新しい商品もあるので持っておくと便利です。
② GMOクリック証券
GMOクリック証券ではCFDの他、株の現物・信用取引、投資信託、FXなどを幅広く取り扱っています。個別株CFDは米国株の取り扱いのみで日本株はありません。
取引手数料が0円のため、特に米国の個別株でCFD投資するなら必須の口座です。マイクロソフト、アップル、ディズニー、ナイキなど、代表的な銘柄をCFDで買うことができます。
シンプルな取引ルールとアプリ画面のため、初心者にはおすすめの証券口座です。まず小さくCFD投資を始めてみたいという人はここから始めると良いと思います。
③ 楽天証券
つみたてNISAなど投資信託の購入で楽天ポイントがもらえることで有名な楽天証券でもCFDの取り扱いが始まりました。株価指数CFDと商品CFDの取り扱いがあります。
FX取引ツールでお馴染みのMT4(Meta Trader 4)をプラットフォームとして採用していることが特徴です。MT4を使ったことが無い人にとってはとっつきにくいかもしれませんが、馴染みがある人には利用しやすいと思います。
MT4ではテクニカル分析や、それに基づいて自動売買をすることも可能です。CFD取引で自動売買Botなどを利用したい場合には利用メリットがあります。
④ ひまわり証券
FXの自動売買で有名なループイフダンやくりっく株365の自動売買であるループ株365など、自動売買で定評のある証券会社です。
くりっく株365の株価指数はループ株365を使うこともできますし、使わずに1枚ずつ取引することもできます。ループ株365は複数本の発注を出すため多くの資金が必要なので、初心者の場合はまずマニュアルで1枚ずつ取引するのがおすすめです。
くりっく株365は店頭CFDと比べてレバレッジが高いため、少額で大きな利益を狙いたい人にもおすすめの口座です。