S&P500をCFDで保持する場合の年間の金利コストと配当金を比較します。
こちらのページでS&P500のCFDとして説明している「IG証券の米国500(円建て)」と「GMOクリック証券の米国S500(ドル建て)」をそれぞれ1ロット、1年間保有したケースで比較します。
株価指数CFDの10倍レバレッジを活かすことで、いろいろな投資戦略が可能になります。
例えば10万円の資金がある場合、1回の取引で100万円分のロットを売買したり、逆に1万円ずつ10回の取引に分けて積み立てていくこともできます。
どのような戦略を取ったとしても、ポジションをある程度の期間保持するとなれば、気になるのは金利コストと配当金です。
同じS&P500のCFDでも、証券会社によって参照する原資産が異なるため、金利コストや配当金も異なります。
このページでは2021年度の実績をまとめているので、参考にしてください。
【おさらい】金利と配当
最初におさらいとして、簡単に株価指数CFDの金利と配当金について説明します。
CFDは参照する原資産(先物、ETFなど)によって3種類の調整額があります。
先物が原資産のCFDでは「価格調整額」が発生し、先物以外が原資産のCFDでは「金利調整額と権利調整額」が発生します。
▼調整額の発生の組み合わせ
CFDの原資産 | 金利 | 配当金 |
---|---|---|
先物 | 価格調整額 | |
先物以外 | 金利調整額 | 権利調整額 |
【価格調整額】
価格調整額は、CFDが参照している先物の限月が切り替わるときの「先物価格の差を調整」するものです。
先物価格は配当と金利を織り込んで形成されているため、価格調整額は配当と金利が反映されていると考えることができます。
【金利調整額】
金利調整額はファンディングコスト、オーバーナイト金利などとも呼ばれます。
CFDの調達コストであり、各国の政策金利などを元に各証券会社で設定されます。
【権利調整額】
権利調整額は配当金相当額などとも呼ばれます。
株価指数の構成銘柄に配当がある場合、配当相当額が受け払いされます。
IG証券の米国500(円建て)は先物以外が原資産で、GMOクリック証券の米国S500(ドル建て)は先物が原資産です。
なお、IG証券には先物が原資産米国500(ドル建て)もあります。
証券会社 | 銘柄名 | CFDの原資産 |
---|---|---|
IG証券 | 米国500(円建て) | 先物以外 |
GMOクリック証券 | 米国S500(ドル建て) | 先物 |
価格調整額と権利・金利調整額の大きな違いは、発生タイミングです。
CFDの原資産 | 調整額 | 発生タイミング |
---|---|---|
先物 | 価格調整額 | 年に4回の限月の切替時 |
先物以外 | 権利調整額 | 構成銘柄の配当日 |
金利調整額 | 毎日。土日の分は金や月に加算される |
同じS&P500のCFDであっても、調整額の考え方が異なるため、それが1年間の発生金額の違いになります。
それでは、それぞれの実績を2021年の1年間の例でまとめます。
金利と配当の年間実績
以下のS&P500CFDを、2021年の1年間保有した場合の金利と配当の実績です。
- IG証券の米国500(円建て)
- GMOクリック証券の米国S500(ドル建て)
IG証券の円建て米国500
IG証券のS&P500CFD(円建て)の銘柄名は「米国500種株価指数(¥100)」です。
取引サイズ、最低取引数(最低ロット数)は下表のとおりです。
取引サイズ | ×100 |
---|---|
最低取引数(最低ロット数) | 0.1 |
「CFD価格×取引サイズ×最低取引数」が最低取引価格になります。
レバレッジが10倍あるので、証拠金はこの1/10です。
CFD価格が4,777円の場合は下記の画像のようになります。証拠金がCFD価格と同じなので、分かりやすいです。
画像では0.1ロットで取引していますが、1ロットを1年間保有した場合の金利と配当で実績を整理します。
IG証券では金利と配当の実績は公開されていないため、配当金相当額および金利調整額を公開している楽天証券の実績から試算しました。
権利調整額は楽天証券が公開している配当金相当額をもとに試算しました。金利調整額はIG証券の金利計算式をもとに試算しました。
試算のため、実際の金額とは異なるため、あくまで参考価格として考えてください。
2021年の1年間の権利・金利調整額の合計実績は-3,447円でした。
権利調整額(円) | 金利調整額(円) | 合計 |
---|---|---|
4,903円 | 8,350円 | -3,447円 |
GMOクリック証券のドル建て米国S500
GMOクリック証券のS&P500CFD(ドル建て)の銘柄は「米国S500」です。
取引サイズ、最低取引数(最低ロット数)は下表のとおりです。
取引サイズ | ×1 |
---|---|
最低取引数(最低ロット数) | 1 |
「CFD価格×取引サイズ×最低取引数」が最低取引価格になります。
レバレッジが10倍あるので、証拠金はこの1/10です。
CFD価格が4,777円の場合は下記の画像のようになります。ドル建てなので、証拠金は為替レートで換算されます。
1ロットを1年間保有した場合の金利と配当で実績を整理します。
価格調整額は年に4回発生します。
2021年の1年間の価格調整額の合計実績は3,916円でした。
価格調整の発生日 | 価格調整額(円) |
---|---|
2021/12/10 | +861円 |
2021/9/10 | +1,022円 |
2021/6/11 | +998円 |
2021/3/12 | +1,035円 |
価格調整額の実績はGMOクリック証券のHPで公開されています。ログイン後のユーザ画面でのみ公開されているので、閲覧には口座開設が必要です。
ドル建てCFDのため、価格調整額もドル円で換算されるため、為替レートの影響も少なからずあります。
CFDは金利コストが発生するため、長期保有や積み立てには不向きとの考えもあります。
しかし、価格調整額として受け払いする場合は年間でプラスになっています。(GMOクリック証券)
権利・金利調整額として受け払いする場合は年間でマイナスですが、配当金があるため金利の影響を緩和できています。(IG証券)
こうして比較するとGMOクリック証券の米国S500の方が良いようにも見えます。しかし、IG証券の米国500(円建て)は最低ロットが0.1なので、少額で取引できます。
そこまで考慮すると、どちらが良いとは一概には言えません。冒頭でも述べたように、高値で一発買いをするより分散させた方が良い場合もあるので、やはり戦略次第です。
S&P500は、長期的に見ると右肩上がりです。最初は資金が少なくても、CFDの10倍レバレッジを活用して、少しずつ投資を続けていく戦略は有効だと思います。
CFD投資におすすめの証券会社です。
① IG証券
IG証券はFX、バイナリオプション、CFDなどのリーディングカンパニーです。様々な金融商品を幅広く取り扱っており、持っておくと便利な口座です。
日本国内で開設できる証券会社の中ではCFDの種類と銘柄数が圧倒的に多いです。特に株式CFDの取り扱い銘柄数が多く、個別株でCFD投資するなら必須の口座です。日本株、米国株のどちらも取り扱いがあります。
IG証券の口座はFXや債券なども取引できるオールインワン口座です。ノックアウトオプションなどの新しい商品もあるので持っておくと便利です。
② GMOクリック証券
GMOクリック証券ではCFDの他、株の現物・信用取引、投資信託、FXなどを幅広く取り扱っています。個別株CFDは米国株の取り扱いのみで日本株はありません。
取引手数料が0円のため、特に米国の個別株でCFD投資するなら必須の口座です。マイクロソフト、アップル、ディズニー、ナイキなど、代表的な銘柄をCFDで買うことができます。
シンプルな取引ルールとアプリ画面のため、初心者にはおすすめの証券口座です。まず小さくCFD投資を始めてみたいという人はここから始めると良いと思います。
③ 楽天証券
つみたてNISAなど投資信託の購入で楽天ポイントがもらえることで有名な楽天証券でもCFDの取り扱いが始まりました。株価指数CFDと商品CFDの取り扱いがあります。
FX取引ツールでお馴染みのMT4(Meta Trader 4)をプラットフォームとして採用していることが特徴です。MT4を使ったことが無い人にとってはとっつきにくいかもしれませんが、馴染みがある人には利用しやすいと思います。
MT4ではテクニカル分析や、それに基づいて自動売買をすることも可能です。CFD取引で自動売買Botなどを利用したい場合には利用メリットがあります。
④ ひまわり証券
FXの自動売買で有名なループイフダンやくりっく株365の自動売買であるループ株365など、自動売買で定評のある証券会社です。
くりっく株365の株価指数はループ株365を使うこともできますし、使わずに1枚ずつ取引することもできます。ループ株365は複数本の発注を出すため多くの資金が必要なので、初心者の場合はまずマニュアルで1枚ずつ取引するのがおすすめです。
くりっく株365は店頭CFDと比べてレバレッジが高いため、少額で大きな利益を狙いたい人にもおすすめの口座です。