CFDはレバレッジによる高い資金効率や、単元数に縛られない柔軟な取引の仕組みで人気が高まっている投資方法です。
取り扱い銘柄も「株式CFD」「株価指数CFD」「商品CFD」「債券CFD」など広くカバーしています。
CFDの種類や参照元の原資などでも細かいメリット、デメリットは異なります。しかし基本的な考え方はどれも同じなので、まずは株式CFDを通してCFD取引のメリット、デメリットを理解すればOKです。
そもそもCFDとは何か?を知りたい人、CFD取引の仕組みを理解したい人は、こちらのページをご覧ください。
CFD取引のメリット
株式CFDのメリットは「①高い資金効率」と「②取引柔軟性」です。
株式CFDは5倍のレバレッジがあるため、1万円の資金で5倍のポジションを持つことができ、高い資金効率で取引できます。
また、100株単位でしか購入できないなどの制限がありません。1株から購入でき、証券会社によっては金額指定での取引も可能です。
① CFDは資金効率が良い
CFD取引の最大のメリットはレバレッジによる「資金効率の良さ」です。CFDのレバレッジは種類で異なりますが、株式CFDのレバレッジは5倍です。
例えば1株が3,000ドルの株を現物で買場合は3,000ドル(30万円)が必要です。しかし、CFDなら5倍レバレッジがあるので、600ドル(6万円)で買うことができます。
また、1株を買うのに必要な資金が少ないということは、同じ資金でも複数回に分けて購入や利確が可能になるため「分散」がやりやすくなります。
30万円の投資予算で1株3,000ドル(30万円)の株に投資する場合、現物だと1回しか買えません。安くなった時の「押し目買い」もできませんし、半分だけ利益確定するなどの「部分利確」もできません。
CFDの場合は同じ予算でも5回に分けて買うことができるため、押し目買いもできますし、複数ポジションを持てば部分利確もできます。
1発勝負で売買するのと、5回にタイミングを分けて売買するのでは、後者の方がリスクコントロールがよく柔軟なことは分かると思います。
また、CFDでは株主優待は受けられませんが、配当は受け取ることができます。レバレッジで建てたポジション分も受け取れるため、同じ資金で5倍のポジションを持っている場合、配当も5倍になります。
レバレッジはCFDの種類によって異なり、IG証券のレバレッジは下記のとおりです。
株式CFD | 株価指数CFD | 商品CFD |
---|---|---|
5倍 | 10倍 | 20倍 |
レバレッジが高いほど資金効率も高くなりますが、やりすぎてしまうとハイリスク・ハイリターンになります。特に商品CFDはハイレバレッジなので、ポジションの持ちすぎには注意も必要です。
- 株式CFDはレバレッジがあるため、現物株に比べて資金効率がよい。
- 資金面で押し目買いや部分利確がやりやすくなる。
② CFDは柔軟性が高い
CFD取引のもうひとつのメリットは取引の「柔軟性」です。たとえば、通常の日本株取引では「単元数」や「決済期限」に縛られます。
通常の日本株は単元数(100株)の単位でしか売買ができず、最低必要資金が高額になってしまいます。また、信用取引であれば3.3倍のレバレッジがあって現物よりも資金効率は良いですが、信用取引には返却期限があります。
CFD取引は1株から売買でき、決済期限もありません。さらに、PayPay証券(旧One Tap BUY)のような金額指定で端数株(1株未満)を取引できるサービスも登場してきました。例えばPayPay証券の日本株CFDアプリでは、1万円から日本株CFDを購入できます。
ファーストリテイリングの場合、現物だと1単元(100株)を買うのに750万円が必要ですが、CFDであれば1株から買えるので1.5万円で買えます。さらにPayPay証券の場合、最低1万円から買うことができます。
- CFDは単元数に縛られず、決済期限もないので柔軟に取引が可能。
- 端数株(1株未満)を取引できるサービスも登場。
CFD取引のデメリット
株式CFDのデメリットとしては取引コストの高さが上げられます。
CFD取引で必要なコストは主に「取引手数料」と「金利調整額」の2種類です。
取引手数料はCFDの取引で証券会社に支払われる手数料で、調整額はポジションを保持していることによって発生するコストです。
特に米国株の取引手数料は高いので、仕組みをよく理解して取引しましょう。ただし、米国株の取引手数料はCFDが特別高いというわけではなく、現物でも高いです。
① CFDの取引手数料
取引手数料は1回あたりの売買に必要な手数料です。
株式CFDの場合、米国株と日本株でも取引手数料異なり、米国株の方が高いです。また、証券会社によっても異なります。
国内の証券会社ではGMOクリック証券とIG証券が有名なので、これらの取引手数料を例として説明します。
日本株/米株 | GMOクリック証券 | IG証券 |
---|---|---|
米国株 | 0円 | 16.5ドル@1取引 2.20セント@1株 |
日本株 | 取扱無し | 110円@1取引 0.055%@約定額 |
GMOクリック証券は取引手数料は0円で安いですが、取引できる銘柄が米国株の大企業のみに限られます。
IG証券は取引手数料は必要ですが、取扱い銘柄が多くGMOクリック証券に無い銘柄もCFD取引できます。
面倒でなければ銘柄によって使い分けるのがベストです。
米国株の取引手数料が高いように感じられますが、現物株でも米国株の手数料は高いため、そこまで大きな差はありません。
現物株の取引コストは各ネット証券でほぼ横ばいですので、ここではSBI証券の例を取り上げます。楽天証券などもほぼ変わりません。
日本株/米株 | SBI証券 |
---|---|
米国株 | 0.45%@約定額 ※最大22ドル |
日本株 | 0.035~0.01@約定額 ※約定額で変動 |
株式CFDの場合、1株価格の安い株を少ないポジション数(1、2株)で繰り返し売買してしまうと取引手数料負けしてしまいますので、ある程度まとまったポジション数(10~100株)で売買する必要があります。
例えば、200ドルの株を1往復取引(購入、決済)した場合で例を挙げます。
株数 | CFD(IG証券) | 現物(SBI証券) |
---|---|---|
1株 | 33ドル | 0.9ドル |
10株 | 33ドル | 9ドル |
100株 | 33ドル | 22ドル |
10株で取引している場合、2%上がれば(2ドル上がれば)40ドルのプラスになるので、取引手数料を上回ります。1株の場合は17%上がらないと(34ドル上がらないと)取引手数料を上回ることができません。
1株の株価が30~60ドルほどの小型株を、1~10株ずつ少しずつ買いたいなどの場合は、CFDよりも現物株の方がよいと思います。
株式CFDでは、ある程度まとまったポジション数で取引しないと手数料負けしてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
- 株式CFDは少ないポジション数で売買を繰り返すと手数料負けしてしまう。ある程度まとまったポジションで売買すれば現物株と比べても高くならない。
- IG証券とGMOクリック証券と銘柄で使い分けるとベスト。
① CFDの調整額
CFDには調整額というものがあります。調整額には3種類あり、これらはCFDの種類によって発生有無が異なります。株式CFDでは金利調整額と権利調整額が発生します。
他のCFDは下表のとおりです。
CFDの種類 | 原資産 | 価格調整額 | 金利調整額 | 権利調整額 |
---|---|---|---|---|
株式 | 株式 | × | ○ | ○ |
株価指数 | 先物 | ○ | × | × |
ETF | × | ○ | ○ | |
商品 | 金 | × | ○ | × |
原油 | ○ | × | × |
それぞれの調整額の意味は次のとおりです。価格調整額は少し理解が難しいかもしれないので、詳しく説明していきます。
価格調整額 | 金利調整額 | 権利調整額 |
---|---|---|
限月交代時の価格差調整 | 支払金利 | 配当 |
▼価格調整額(株式CFDでは発生しない)
価格調整額は、先物を原資産とするCFDに発生します。株式CFDでは発生しませんので興味がなければ読み飛ばしてください。
価格調整額は原資産の先物の限月交代によって発生する調整額なので、配当と考えることもできます。例えば、日経225先物を原資としているCFDの場合、交代先の先物が配当落ちを折り込んで値下がりしたとします。
しかし、配当落ちで下がっている分を価格調整額として受け取るので、実質的には配当を受け取ったのと変わりありません。±0で損得が無いように思えますが、現物の株も配当落ち日には配当分値下がりすることを考えれば、全く同じものです。
▼金利調整額
金利調整額は、その名の通り金利です。ポジションを翌日に持ち越すことで発生するので、CFDが長期保有に向かない理由のひとつとされます。
しかし、実際は金利よりも配当(権利調整額)の方が多ければ相殺されますので一概には長期保有に向かないとは言えません。
配当(権利調整額)>金利調整額となる銘柄であれば、長期保有で配当目的(インカムゲイン目的)に投資をすることもできます。
▼権利調整額(配当)
権利調整額は株式やETFを原資産とする株価指数で発生する配当に相当する調整額です。先物を原資産とするCFDでは発生しません。また、金(ゴールド)や原油など配当のない商品でも発生しません。
なお、株式CFDでは株主優待は受けられませんが、配当は権利調整額として分配されるので配当目的の投資も可能です。ただし、当たり前ですが配当のない銘柄だと権利調整額はないので注意してください。
株式CFDの場合、金利調整額は支払うお金、権利調整額は受け取るお金、と覚えておけばOKです。ただし、空売りの場合は逆になるので注意しましょう。
また、権利調整額>金利調整額の場合は、保持していればプラスとなり、権利調整額<金利調整額の場合は保持していればマイナスとなることを覚えておきましょう。
金利調整額はオーバーナイト金利やファンディングコストとも呼ばれ、CFDが長期投資に向かない理由として上げられます。しかし先述したとおり、配当がある場合はそうとも限りません。
- 3つの調整額は、CFDの種類や参照している原資産で発生の有無が異なる。ただし、どれもそれほど気にする必要はない。
- 株式CFDの場合、権利調整額>金利調整額の銘柄を選べば、長期で配当目的の投資も可能。
当記事では株式CFDを例にしてCFD取引の仕組みとメリット、デメリットを解説しました。CFDは資金効率の良さと柔軟性の高さという2つの点で使い勝手のよい投資方法です。
特に記事中でも記載した通り、1株価格の高い米株や単元数の縛りがある日本株の取引には適しています。
米株だと1株の単価が高いですし、日本株だと単元数という足かせがあります。
株式CFDは取り扱いのある証券会社がGMOクリック証券やIG証券などに限られてしまいますが、このページで紹介したとおり利用価値は高い投資方法です。
株式CFDの始め方をこちらのページでまとめています。
「日米個別株式CFDの始め方」「証券会社の比較」「株式CFDの配当と金利」をまとめているのでご覧ください。
CFD投資におすすめの証券会社です。
① IG証券
IG証券はFX、バイナリオプション、CFDなどのリーディングカンパニーです。様々な金融商品を幅広く取り扱っており、持っておくと便利な口座です。
日本国内で開設できる証券会社の中ではCFDの種類と銘柄数が圧倒的に多いです。特に株式CFDの取り扱い銘柄数が多く、個別株でCFD投資するなら必須の口座です。日本株、米国株のどちらも取り扱いがあります。
IG証券の口座はFXや債券なども取引できるオールインワン口座です。ノックアウトオプションなどの新しい商品もあるので持っておくと便利です。
② GMOクリック証券
GMOクリック証券ではCFDの他、株の現物・信用取引、投資信託、FXなどを幅広く取り扱っています。個別株CFDは米国株の取り扱いのみで日本株はありません。
取引手数料が0円のため、特に米国の個別株でCFD投資するなら必須の口座です。マイクロソフト、アップル、ディズニー、ナイキなど、代表的な銘柄をCFDで買うことができます。
シンプルな取引ルールとアプリ画面のため、初心者にはおすすめの証券口座です。まず小さくCFD投資を始めてみたいという人はここから始めると良いと思います。
③ 楽天証券
つみたてNISAなど投資信託の購入で楽天ポイントがもらえることで有名な楽天証券でもCFDの取り扱いが始まりました。株価指数CFDと商品CFDの取り扱いがあります。
FX取引ツールでお馴染みのMT4(Meta Trader 4)をプラットフォームとして採用していることが特徴です。MT4を使ったことが無い人にとってはとっつきにくいかもしれませんが、馴染みがある人には利用しやすいと思います。
MT4ではテクニカル分析や、それに基づいて自動売買をすることも可能です。CFD取引で自動売買Botなどを利用したい場合には利用メリットがあります。
④ ひまわり証券
FXの自動売買で有名なループイフダンやくりっく株365の自動売買であるループ株365など、自動売買で定評のある証券会社です。
くりっく株365の株価指数はループ株365を使うこともできますし、使わずに1枚ずつ取引することもできます。ループ株365は複数本の発注を出すため多くの資金が必要なので、初心者の場合はまずマニュアルで1枚ずつ取引するのがおすすめです。
くりっく株365は店頭CFDと比べてレバレッジが高いため、少額で大きな利益を狙いたい人にもおすすめの口座です。